非常勤講師の髙山瑞先生が作品を出品されています。
『whirlpool』
北林加奈子 髙山瑞 堀田ゆうか
会場|GASBON METABOLISM 山梨県北杜市明野町浅尾新田12
会期|2025年10月10日(金) – 11月17日(月)
開廊時間|11:00−17:00
休廊日|火・水・木
[トークイベント]
日時|11月1日(土) 14:00 – 15:30
登壇者|勝俣涼(美術批評家)、北林加奈子、髙山瑞、堀田ゆうか
デザイン|浦川彰太
幼い子どもが夢中で描く渦巻き——それは、目に見える何かの模写や意味を示すものではなく、触覚や運動感覚を通して世界と自己を理解しようとする根源的な表現行為です。
本展「whirlpool」(ワールプール)は、そうした「根源的渦巻」のイメージを手がかりに、身体と世界とのあわいを見つめる三人の作家による展覧会です。
出展作家の北林加奈子、髙山瑞、堀田ゆうかは、2024年に開催した展覧会「act. Inframince」(アクトアンフラマンス)においても、身体と空間、二次元と三次元、気配や境界といったテーマを共有しつつ、それぞれ異なるアプローチで制作を行ってきました。
本展では、三人それぞれが身体を動かし制作する行為の中で、世界の手触りや肌理、輪郭をたどるようにして確かめながら、そこに立ち現れる空間の気配を可視化するような試みを行います。
北林加奈子は、陶に糸や布、木、金属、ウールなどの異素材を組み合わせた彫刻作品によるインスタレーションを発表してきました。自己と他者、その”境界”としての皮膚感覚や気配を手がかりに制作された作品群は、空気や光、匂い、湿度や温度といった目に見えないものへの尊さを感じさせます。
髙山瑞は、線と余白を主題に木彫技法にて作品を制作しています。かく(書く・描く・掻く・欠く)ことの原点を探るため、二次元にある線の奥行きを木に彫り刻むことで、余白を三次元的に出現させます。現れたかたちは、描画と記述と造形、二次元と三次元の境界を曖昧にします。
堀田ゆうかは、ドローイングやインスタレーション作品を展開しています。支持体として薄い木の板を切り出し、辿々しくもそこに身体を折り畳む、あるいは抜け出すことで、平面と空間を行き来しながら、捉え所のない身体の気配に触れようと試みています。
タイトル「whirlpool」は渦巻きを意味する単語であり、「根源的渦巻」を表すと同時に、展示空間に生まれる複数の動きや視線、気配が中心を持たないまま交差し続けるような状態も示唆します。
また、三人の作家の関係性や行為の軌跡が、渦を描くように重なり合い、鑑賞者の意識をゆるやかに巻き込んでいくイメージも込められています。