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柳生嗣雄展 カタチの進化論

元非常勤講師 柳生嗣雄さんの個展になります。

 

「柳生嗣雄展 カタチの進化」

 

会期:2022.7/6(水)〜9/25(日)

   10:00〜18:00 観覧無料

休館日:8/16(火)〜19(金)、9/5(月)ロゼシアター休館日を休館

 

会場:ふじ・紙のアートミュージアム

  〒416-0953 静岡県富士市蓼原町1750番地

  富士市文化会館ロゼシアター1階東側奥

 

特別講座:アーティストトーク7/10(日)

     13:00〜14:00無料・申込不要

 

概要:はじめに手があった。手は人間と共にあった。おそらく人類が初めて創り出した立体造形物は、自由になった手で握りしめた粘土の塊であったのではないだろうか。

アトリエでその日の作業が終わり、余った紙原料を保管するために手の中で握りつぶして脱水することがある。

この繊維の塊(立体造形物)はとても興味深いカタチをしている。私たち人間の手の形は、指紋が一人ひとり違うように唯一無二のものであり、握りつぶした塊も千差万別なのだ。手の中で握り握りしめた無意識のカタチこそ実は最初に信頼できる他者であり、皮膚を通して世界を感じ取る手がかりとなる。

 

20年前より何度も繰り返し実践してきた「手の中プロジェクト」というワークショップがある。これは子供から老人まで様々な人々に紙の原料を握ってもらうというシンプルなワークショップなのだが、握るものと握られるモノが逆転し、手の中の見えない空洞が一瞬にしてリアリティーを持った姿で現れる。直接的に内と外が身体接触する瞬間に立ち会うことになる。それらの塊をテーブルの上に並べてみると、同じカタチが一つのもないにもかかわらず、握るという行為の原点、ヒトが共通してもつ創造力の源泉のようなものが見えてくるような気がする。

今回はその「手の中プロジェクト」と同時に、道具を使わず自分の手だけで作った紙のカタチを展示したいと思っている。世の中のIT化の流れに逆行するようだが、究極のアナログ作業が目的である。作らないように作る、あるいは作るように作らないというおよそ文明的ではない手法の中から何か新しい発見があるかも知れない。言うまでもなく紙は植物の繊維でできている。今回はスギ皮繊維と楮の繊維を作品の素材にしようと思う。地元、飯能市の製材料で廃棄されるスギ皮を頂戴し、煮込んで繊維を採取した。紙とは何か、造形とは何かを自身に問いかけるように素材を握りしめなければならない。  2022/4/28 柳生嗣雄